『レ・サンドワ 座談会』

『レ・サンドワ座談会』

鳥羽瀬 
今日はZoomでお集まり頂き有難うございます(笑)
こんな形でお話するのも新鮮ですね!
それでは宜しくお願いします。

2010年に活動を始めた我々「レ・サンドワ」ですが、10年の間に様々な曲を演奏して来ましたね。お二人にとって、ピアノアンサンブルの楽しさとはどんなものでしょうか?

塩塚
ピアノは孤独に練習をする楽器ですが、アンサンブルは音で会話をするような、キャッチボールをするような楽しさがありますよね。
音だけでなく、相手の空気感を感じて弾くというのはソロには無い楽しさがあります。

皆川
ピアノの音は一人一人個性が違いますので、どのパートを受け持ったらより効果的なのか皆で考慮して、練習では録音を撮って全体のバランスを調整したりしています。

塩塚
そうですね。オーケストラには「指揮者」というまとめ役がいるけれど、ピアノアンサンブルは全員が主役になったり脇役になったり瞬時に役割を変えながら演奏していきます。
常に全体の音のバランスに気を配る必要がありますし自分だけが目立てばいいという考えでは演奏になりません(笑)

皆川
時には悩んだり苦しんだり、議論になることもあります(笑)!

鳥羽瀬 
ありますね(笑)! でも音楽上での議論は非常に有意義だし、新しい考え方に気づいたり、学んだり、そしてお互いへに向上して行くきっかけになりますよね。

皆川
やはりアンサンブルで最終的に一番大切な事は「全員の心を一つにする」ことではないでしょうか?そこにはソロでは得られない、みんなで得られるたくさんの歓びと感動があります。

鳥羽瀬、塩塚
同感です!!!(笑)

鳥羽瀬 
今回は作曲家の浦壁信二先生に編曲を依頼しました。

皆川
この曲の最初に流れる有名なメロディーは「捕われの身」となったダッタン人の若者達が美しい故郷への想いを唱い、また中間部分では王様を讃える激しい民族的な踊りへと目まぐるしく曲想が変化します。

塩塚
名曲ですし、素晴らしい編曲で練習も楽しかったですね。

鳥羽瀬
浦壁先生の愛情こもった手書き楽譜でした(笑)

塩塚
この曲のように原曲がオーケストラの曲を弾く時、弦楽器のふくよかな響き、管楽器の伸びやかな音を鍵盤楽器で演奏するのは本当に難しいことなのですが、作曲家が意図した音色のイメージを損なわずにピアノで表現して行く、この難しさを感じながら同時にそこにやりがいも感じて音色を作っています。

皆川
聴く、音色を作る、構成を考える、ソロの演奏にも役立つことばかりですね。
是非多くの学生さんにピアノアンサンブルを楽しんで欲しいですね!

塩塚
本当にそう思います。レ・サンドワで様々な曲を勉強して行くうちに、ピアノソロの曲でもオーケストラのスコアを読むように楽譜が見えてきたりすることが多くなりました。
様々な楽器のイメージを耳の中で鳴らすことは立体感のある響きを作っていく上でもとても大切なプロセスだと思います。

皆川
ピアノソロだけでなく、オペラやオーケストラの曲に親しむように若い頃から多くの先生方に言われてきました。これらの経験は音楽を多角的に見るきっかけにもなると思います。

鳥羽瀬
お二人ともありがとうございました。
それでは、2007年 浜離宮朝日ホール公演より チャイコフスキー作曲「ロメオとジュリエット」をお聴きください。